１５日の日本ハム戦（札幌Ｄ）に向け、敵地で短距離ダッシュなどを消化。昨年５月２９日の同カード（東京Ｄ）は７回４失点で敗れたが「つないでくるイメージなので、『線』にならないように、１つ１つアウトを取っていきたい」

　山口は大きく息を吐き出した。６点リードの８回２死三塁。今季最多タイとなる１２２球目、高めの直球で杉谷を中飛に打ち取ってピンチをしのいだ。「交流戦は（３カード連続）勝ち越しで来ていて、明日につなげるためにマウンドに立ちました。序盤に援護をもらい、楽に投げることができました」。７、８回と味方の守備の乱れが絡んで計２失点したが、８回４安打で自責は０。菅野に並び６勝でチームトップに立った。
　投球に変化をつけることで、日本ハム打線を幻惑した。「誠司（小林）と話し合って、『球種を増やしていこう』と。直球、フォークのイメージが強いと思うので」。山口といえば、力強いストレートとフォークのコンビネーションが武器。この試合もその２球種を軸に組み立てはしたが、随所にスライダーを織り交ぜることで攻めの幅を広げた。立ち上がりこそ長打でピンチを背負ったが、４回には３者連続三振を奪うなど、９奪三振で圧倒した。

　交流戦も折り返しに入り、疲労がたまる時期だが「今を乗り切らないと先はない」と山口。４月は４連勝でスタートし、月間ＭＶＰを獲得。その後、５戦連続勝ち星なしと苦しんだ期間もあったが、再び勢いを取り戻しつつある。

おいおい！
不細工山口よ！
うちの若手の平沼にわざとぶつけやがって
土下座して謝罪しろや！

俊ね。もう完投したい症候群なんですよ彼は。最後まで行きたいです行きたいですって言ってたんですけど、あそこまで投げたのは立派だし点差、点数が入ったということでリリーフに渡しましたけど、満点じゃないですか。あとはもう智之にお任せ。いい舞台を作っていただきました

アル中の暴力豚I号！因みに２号は澤村拓一！

　山口が好投を続ける要因に、リリースポイントの“低め一致”が挙げられる。もともとはオーバースローの投手だが、直球に比べ、変化球をやや肘を下げて投げていたので、リリースポイントにばらつきがあった。今年はそのばらつきを修正。全球種を、変化球を投げる時の低い高さに統一して投げている。これにより、打者が球種を見極めづらくなっている。
　リリースポイントを“低め一致”させたことで、直球がややシュート回転するようになったが、山口―小林のバッテリーはこれを有効活用した。左打者の内角に、この直球をどんどん投げ込んだ。上林は３回、「ボールだ」と思って腰を引いた内角直球を見逃し三振。この球が要所で効いて、対左打者は無安打だ。
　対照的に対右打者には５安打を献上した。これは外角を狙った球がシュート回転して真ん中に入ったためだ。長所と短所は常に“共存”するもの。右打者の外角への直球の制球にさえ気をつけていけば、シーズン通して先発ローテで安定した活躍を見せてくれるだろう。
　２３日の試合は勝ったほうが交流戦Ｖという「最終決戦」になった。選手もファンもワクワクできる展開にしてくれたのは、山口の好投があってこそだ。

　山口の力みのないフォームから剛球が放たれた。初回２死、内川へ２ボール２ストライクからの５球目、内角低めへ投げた直球は捕手が構えた所へ気持ち良く決まり、見逃し三振。快調な立ち上がりでスタートを切った。
　負ければ交流戦優勝がなくなる大事な試合。「優勝して、交流戦後のペナントレースに勢いづければいいなと思いマウンドに上がっていました」。最速１５２キロの直球を主体にスライダー、フォークが効いた。ストライク先行でリズム良く、制球もさえた。完投も可能だったが、点差が開いたため首脳陣は救援陣に試合を託した。７回１０４球５安打１失点７奪三振１死球で今季７勝目を飾った。
　横浜時代からソフトバンク戦には計４度先発し４勝０敗、防御率０・９５と屈指の“鷹キラー”ぶりを発揮。これで交流戦は３登板２１イニングで２勝０敗、防御率１・２９。チームの勝ち越しに大きく貢献した。また、６月の月間ＭＶＰ候補にも挙がっており「今年は状態自体にそこまで浮き沈みがないと自分自身感じている」と手応えは十分だ。

　山口は春季キャンプから「力みのないフォームでいかに強い球を投げられるか」をテーマに置いていた。５月は体が開いてしまいうまくいかなかったが、ここ数試合は「やっと理想に近い力感のないフォームに近付いてきた」と話す。
　キャンプの時に連投や２００球以上の投げ込みをしていたのは、単にフォーム固めではなく、疲労がたまった時や不調の時のためにどういう修正方法を蓄積していくのか。「いい時は何も考えなくてもいい球が行く。悪い時にどうするか。そのためにオフから準備している」。１４年間得てきた収穫をフルに生かし結果につなげた。投球をベンチで見つめた原監督も「非常に力みのない、いい投球だった」と称賛の声を贈った。
　「今は真っすぐで強弱を付けられている。そこが一番自分が調子いいときのスタイル。もう少しコントロールの精度や、いいボールの率を上げていけるように頑張ります」と背番号１１。山口の力投により、交流戦優勝決定戦はエース・菅野に託された。山口はお立ち台で「頑張ってください」と笑顔でエールを送った。

　巨人の山口俊投手（３１）が、リーグ戦再開初戦となる２９日のヤクルト戦（秋田）に先発することが２４日、内定した。今季７勝２敗、防御率２・１６と安定し、２２日のソフトバンク戦（東京Ｄ）も７回１失点と好投した右腕が中６日で先陣を切る。３０日の同カードはメルセデスの予定。２連戦で左右ジグザグに配置する。
　交流戦では土曜日が山口、日曜日が菅野と右の２枚看板が同じカードに先発した。チームはパ・リーグ５球団に勝ち越して１１勝７敗。広島を抜いてセ・リーグ首位に浮上した。球宴まで残り１１試合。勢いをさらに加速させるため、山口と菅野を離して別カードにする。
　現状、首脳陣は菅野の先発を９連戦初戦となる２日の中日戦（東京Ｄ）で検討中。状態を慎重に見極めながら判断する。連戦中は今村、桜井、高田、高橋も先発する方向で準備を進め、田口をリリーフ起用するプランもある。投手陣が結束して陣容を整えていく。